日本の伝統的な発酵調味料として注目を集めている塩麹。食材本来の味わいを引き立てながら、驚くほど柔らかな食感に仕上げてくれるこの調味料は、忙しい現代人の強い味方となっています。
塩麹の魅力は、複雑な味付けをしなくても、これ一つで料理の味が整うところにあります。肉や魚、野菜など、あらゆる食材と相性が良く、和洋中どんな料理にも活用できる懐の深さを持っています。
中でも鶏肉との組み合わせは絶品で、作り置きおかずとしても優秀だと評判です。週末にまとめて仕込んでおけば、平日の夕食作りがぐっと楽になりますよね。多くの家庭で、塩麹に漬け込んだ鶏肉がストックされているのではないでしょうか。
ところで、塩麹に漬けた鶏肉は普通の状態よりも長く保存できると聞いたことはありませんか?実際に作ってみると、確かに通常よりも長持ちしている気がする…でも、一体どうしてそんな現象が起きるのでしょう?
その疑問を解消すべく、本記事では以下の3つのポイントについて詳しく解説していきます。
- 塩麹に漬けた鶏肉は具体的にどれくらいの期間保存できるのか
- 塩麹が鶏肉の保存期間を延ばすメカニズムとは
- 実際に作ってみたい塩麹漬け鶏肉の活用レシピ集
塩麹に漬けた鶏肉の保存可能期間について
鶏肉という食材は、他の肉類と比較しても水分含有量がかなり高い部類に入ります。このため、何も処理をせずに冷蔵庫に入れておくと、あっという間に鮮度が落ちてしまいます。
長期保存したいなら冷凍という選択肢もありますが、使うたびに解凍作業が必要になるのは少し面倒ですよね。前もって解凍し忘れて、夕食作りに慌てた経験がある方も多いはずです。
そこで活躍するのが塩麹漬けという方法。下味がしっかりついた状態で保存できるうえ、保存期間も延びるという嬉しい効果があります。
冷蔵庫での保存なら、おおむね5日から7日程度は品質を保てると考えられています。
ただし、これはあくまで目安の期間。使用する塩麹の銘柄や塩分の濃さ、保存環境の温度管理などによって、実際に保存できる日数は前後します。「必ず1週間は大丈夫」と断言できるものではありません。
参考までに、豚肉を塩で漬け込む保存法についても調べてみたところ、多くの情報源で保存期間を約1週間としていました。
このデータから推測すると、鶏肉を塩麹で漬け込んだ場合も、冷蔵保存で少なくとも5日程度は安心して食べられると判断できるでしょう。
衛生面が気になる方は、できる限り早めに消費することをおすすめします。
もっと長い期間保存したい場合は、冷凍保存に切り替えましょう。冷凍庫に入れておけば2週間は余裕で保存可能です◎
(ここだけの話、筆者は1ヶ月程度冷凍したものも普通に使っています)
塩麹が鶏肉の保存期間を延ばすメカニズム
鶏肉を塩麹に漬け込むと保存期間が延びる…この不思議な現象には、いったいどんな秘密が隠されているのでしょうか?
実は、麹と塩、それぞれが持つ特別な作用が関係していました。
まず、食品が腐敗していく過程について考えてみましょう。食べ物が傷む原因は、「空気中を漂っている細菌類が食品の表面に付着し、そこで増殖してしまうこと」にあります。
細菌は目に見えないだけで、私たちの周りのあらゆる場所に存在しています。ですから、本来であれば食品の腐敗を完全に防ぐことは不可能なのです。
ところが、麹の中に含まれる麹菌という微生物には、他の雑菌を寄せ付けなかったり、増殖を抑制したりする性質があります。この働きによって、塩麹に漬けた鶏肉は通常より長く保存できるというわけです。
続いて塩の作用についても見ていきましょう。
食材が劣化する要因の一つとして「水分」の存在が挙げられます。
食材中の水分が多ければ多いほど、細菌が活動しやすい環境になり、結果として傷みやすくなってしまいます。ところが、塩で漬け込むと浸透圧という物理現象が起こり、鶏肉に含まれる水分が外へと引き出されていきます。
細菌が繁殖するために欠かせない水分が減少することで、腐敗のスピードが遅くなるという仕組みです。
麹だけ、塩だけでもそれぞれ保存効果は期待できますが、この2つが組み合わさることで相乗効果が生まれます。
傷みやすい性質を持つ鶏肉であっても、しっかりと保存期間を延ばすことができるのです◎
塩麹漬け鶏肉を使った絶品レシピ
塩麹に漬け込んだ鶏肉を活用した、おすすめのレシピをご紹介します! 部位別にピックアップしましたので、お好みに合わせて選んでみてください◎
塩麴漬けで作る:鶏むね肉の自家製ハム
簡単!鶏むね肉の塩麹ハム by 太田アキオ
鶏ハムを作る際に塩麴漬けの鶏むね肉を使うと、驚くほどしっとりとした仕上がりになります。
塩麹の発酵パワーが鶏肉本来の旨みをぐっと引き出してくれますよ◎
塩麴漬けで作る:鶏むね肉のバター香るソテー
しっとり柔らか♪鶏むね肉塩麹バターソテー by *shinku*
塩麹のみで味付けしたシンプルな調理法も美味しいのですが、バターを加えることで香ばしさとコクが増し、ご飯が止まらなくなる味わいに変身します。
仕上げにレモンを搾ると爽やかさが加わって◎
塩麴漬けで作る:鶏もも肉入り肉じゃが
塩糀だけで味が決まる!鶏の塩肉じゃが by 発酵食大学
醤油ベースの定番肉じゃがに飽きてきたら、ぜひ挑戦してほしい塩味仕立ての新感覚肉じゃが。
塩麹効果で鶏肉はプリプリの食感に、野菜には旨みがたっぷり染み込みます!
塩麴漬けで作る:鶏もも肉と里芋の炊き込みご飯
里芋と塩麴の炊き込みご飯 by 岐阜県恵那市
塩麴に漬け込んだ鶏もも肉から溶け出した旨みがお米一粒一粒に染み渡る、贅沢な炊き込みご飯です。
里芋以外にも、お好きな季節の野菜やきのこ類を組み合わせてアレンジしてみてください。
最後に
- 塩麹に漬けた鶏肉は、冷蔵保存でおよそ5日から7日程度保存可能
- 保存期間が延びる理由は、麹菌の抗菌作用と塩の脱水作用という2つの効果が組み合わさっているため
鶏肉を塩麹に漬け込むことで保存期間が延びるのは、麹と塩それぞれが持つ保存効果が相乗的に働くためです。
通常の状態と比べて5日前後は長く保存できますが、もっと長期間ストックしておきたい場合は、迷わず冷凍保存を選択してください。
塩麹漬けという昔ながらの知恵を活用すれば、鶏肉料理のバリエーションが広がるだけでなく、食品ロスの削減にもつながります。忙しい日々の中で、作り置きおかずとして大いに役立ててくださいね。