島根県安来市にある足立美術館は、日本庭園の美しさで世界的に知られる美術館です。秋になると広大な庭園が紅葉に染まり、美術作品と自然が織りなす格別の景観を楽しめます。「庭園もまた一幅の絵画である」という創設者の理念が、紅葉の季節に最も美しく表現される場所といえるでしょう。
今回は、足立美術館の紅葉の見頃時期や、混雑を避けて快適に過ごすためのポイントをご紹介します。駐車場情報やツアー利用のメリットもあわせてお伝えしますので、秋の旅行計画の参考にしてみてください。
足立美術館の紅葉、2025年の見頃はいつ?

足立美術館の紅葉は、11月上旬から12月上旬にかけてが見頃のピークを迎えます。2025年も例年通り、この時期に最も美しい紅葉風景が広がると予想されます。
庭園には約5万坪の敷地に様々な樹木が植えられており、特にモミジやドウダンツツジが鮮やかな赤や橙に色づきます。11月中旬頃には庭園全体が色彩豊かに染まり、日本画のような風景が眼前に広がります。
見頃のピークは天候によって数日から1週間ほど前後することがあります。2025年の秋が暖かく推移すれば、色づきは11月中旬以降にずれ込む可能性もあります。訪問前には公式サイトやSNSで最新の紅葉状況をチェックすると安心です。
12月に入ると徐々に葉が散り始めますが、それもまた風情があります。落ち葉が苔の上に舞い散る様子は、静謐な美しさを感じさせてくれます。
紅葉シーズンの混雑状況を知っておこう
足立美術館は紅葉の名所として人気が高く、見頃の時期には多くの来館者で賑わいます。特に混雑するのは以下のタイミングです。
最も混雑するのは11月の週末と祝日
11月中旬から下旬の週末や祝日は、年間で最も混雑する時期といえます。開館直後から昼過ぎにかけて、団体ツアー客や個人観光客が集中します。館内の鑑賞スペースや庭園を望む窓際は、人が途切れることなく続きます。
チケット購入にも待ち時間が発生することがあり、ピーク時には20~30分程度並ぶケースも見られます。スムーズに入館するためには、オンラインでの事前チケット購入も検討する価値があります。
平日の午前中は比較的落ち着いている
平日、特に火曜日から木曜日は週末に比べて来館者が少なく、ゆったりと鑑賞できます。開館直後の9時から10時台は最も空いている時間帯です。朝の光に照らされた紅葉は透明感があり、写真撮影にも適しています。
午後は団体ツアーが増える傾向にあるため、静かに過ごしたい方は午前中の訪問をおすすめします。
12月に入ると人出も落ち着く
12月に入ると紅葉は終盤を迎えますが、混雑も和らぎます。葉が散り始めた庭園も趣があり、人混みを避けて美術館をじっくり楽しみたい方には狙い目の時期です。
混雑を回避するためのコツ
紅葉シーズンでも、工夫次第で快適に過ごせます。混雑を避けるための具体的な方法をご紹介します。
開館時間を狙って早めの到着を
足立美術館の開館時間は9時です(10月から3月)。開館直後の9時から10時までは比較的空いており、庭園をゆっくり眺められます。特に平日の朝一番は狙い目です。
早朝の光の中で見る紅葉は、午後とはまた違った表情を見せてくれます。館内も静かで、美術作品と庭園美を心ゆくまで堪能できるでしょう。
閉館前の時間帯も穴場
閉館時間は17時(16時30分最終入館)です。15時以降は帰路につく人が増え始め、徐々に館内が空いてきます。特に16時台は人が少なく、落ち着いた雰囲気の中で鑑賞できます。
夕方の柔らかい光に包まれた庭園も美しく、昼間とは異なる表情を楽しめます。ただし、日没が早い時期なので、庭園の明るさは午前中に比べると控えめになります。
雨天や曇天の日を選ぶ選択肢も
晴天の日は多くの観光客が訪れますが、雨天や曇天の日は来館者が減ります。雨に濡れた紅葉は色が濃く映え、霧がかった庭園は水墨画のような幻想的な美しさを生み出します。
足立美術館は屋内から庭園を鑑賞する造りになっているため、雨の日でも快適に過ごせます。むしろ雨天ならではの景色を楽しめる点は大きな魅力です。
事前にチケットを購入しておく
紅葉シーズンのピーク時は、チケット購入に時間がかかることがあります。可能であれば、事前にチケットを購入しておくとスムーズに入館できます。
オンラインチケットの有無や購入方法については、訪問前に公式サイトで確認しておくと良いでしょう。当日券の場合も、開館直後や閉館前の空いている時間帯を選ぶことで、待ち時間を短縮できます。
駐車場事情と利用時のポイント
車で訪れる方にとって、駐車場の状況は気になるところです。足立美術館の駐車場情報を詳しくご紹介します。
無料駐車場が完備されている
足立美術館には無料の駐車場が約400台分用意されています。大型駐車場ですが、紅葉シーズンの週末や祝日は満車になることもあります。
駐車場は美術館のすぐ近くにあり、徒歩数分でエントランスに到着できます。駐車場からのアクセスが良い点も、足立美術館の魅力の一つです。
混雑時は早めの到着が肝心
11月の週末や連休は、10時を過ぎると駐車場が混み始めます。確実に駐車したい場合は、9時の開館に合わせて到着するのがベストです。
午後になると駐車待ちの車列ができることもあります。特に団体バスも多く訪れる時間帯は、駐車スペースを見つけるのに時間がかかる場合があります。
周辺の臨時駐車場も視野に
繁忙期には周辺に臨時駐車場が設けられることもあります。美術館から徒歩圏内に民間駐車場もいくつかありますが、数は限られています。
どうしても駐車できない場合は、JR安来駅周辺の駐車場を利用し、駅から美術館までシャトルバスを使う方法もあります。安来駅から足立美術館までは無料シャトルバスが運行されており、約20分で到着します。
紅葉と絵画の共演を楽しむ

足立美術館の特徴は、日本庭園と近代日本画のコレクションを同時に鑑賞できることです。紅葉シーズンは、この両者が見事に調和します。
横山大観をはじめとする日本画コレクション
足立美術館は横山大観の作品を中心に、竹内栖鳳、川合玉堂、上村松園など、近代日本画壇を代表する画家たちの作品を所蔵しています。総数は約2,000点にのぼり、質・量ともに日本屈指のコレクションです。
秋には紅葉をテーマにした作品も展示されることがあり、窓の外の実際の紅葉と絵画の中の紅葉を見比べる楽しみがあります。日本画が表現する秋の情景と、目の前に広がる本物の紅葉が響き合う瞬間は、足立美術館ならではの体験です。
「生の額絵」が織りなす芸術空間
館内の窓は額縁のように設計されており、窓の外の庭園がまるで一枚の絵画のように見えます。これが「生の額絵」と呼ばれる演出です。
紅葉の季節には、この額縁の中に燃えるような赤や黄色が収まり、動く絵画のような景観が生まれます。時間によって変わる光の具合、風に揺れる木々の様子など、同じ場所でも刻々と表情を変える景色を楽しめます。
枯山水庭園と紅葉の調和
足立美術館には複数の庭園がありますが、特に枯山水庭園と紅葉の組み合わせは圧巻です。白砂と石で表現された抽象的な風景に、紅葉の鮮やかな色彩が加わることで、静と動のコントラストが生まれます。
苔庭に散る紅葉も見どころです。緑の苔の上に赤や黄色の葉が舞い落ちる様子は、計算されたアートのような美しさがあります。
ツアーで訪れるメリットとは
足立美術館へは個人で訪れることもできますが、ツアーを利用するのも一つの選択肢です。ツアーならではのメリットをご紹介します。
交通の心配がいらない
島根県安来市は公共交通機関でのアクセスがやや不便な場所です。最寄りのJR安来駅からはシャトルバスが出ていますが、本数は限られています。
ツアーであれば、集合場所から目的地までバスで直行できます。運転の疲れもなく、車窓から山陰の景色を楽しみながら移動できる点は大きな魅力です。
周辺観光地とセットで効率よく回れる
足立美術館の紅葉ツアーは、出雲大社や松江城、玉造温泉といった周辺の観光スポットとセットになっていることが多いです。限られた時間で山陰の名所を効率よく巡れるのは、ツアーならではのメリットです。
特に初めて山陰地方を訪れる方にとって、土地勘がなくても安心して観光できる点は心強いでしょう。ガイドの説明を聞きながら、地域の歴史や文化に触れることもできます。
入館がスムーズ
団体ツアーは事前に入館時間が調整されているため、個人客に比べてスムーズに入館できることがあります。チケット購入の手間も省けます。
ただし、団体行動になるため自由時間が限られる点は考慮が必要です。じっくり美術館を鑑賞したい方は、個人での訪問も検討してみてください。
2025年の紅葉ツアー予約は早めに
紅葉シーズンのツアーは人気が高く、早い時期から予約が埋まります。特に11月中旬の週末発のツアーは競争率が高いです。
2025年のツアーを検討している方は、夏頃から情報収集を始め、9月には予約を済ませておくのがおすすめです。早期予約割引が適用されるツアー会社もあるので、お得に旅行を楽しめます。
紅葉鑑賞と合わせて楽しみたいポイント
足立美術館を訪れたら、紅葉と美術鑑賞以外にも楽しめるポイントがあります。
館内のカフェで一息
館内には「喫茶室 翠」があり、庭園を眺めながらお茶や軽食を楽しめます。抹茶セットや季節の和菓子が用意されており、美術鑑賞の合間にほっと一息つける空間です。
窓際の席からは紅葉に彩られた庭園が見渡せ、まるで絵画の中にいるような気分を味わえます。混雑時は席の確保が難しいこともあるので、時間に余裕を持って訪れると良いでしょう。
ミュージアムショップでお土産探し
エントランス近くのミュージアムショップでは、足立美術館オリジナルの商品や日本画関連のグッズを購入できます。ポストカード、クリアファイル、手ぬぐいなど、日常使いできるアイテムも豊富です。
紅葉をモチーフにした商品も多く、旅の記念やお土産に最適です。美術館を訪れた思い出を持ち帰ることができます。
周辺の温泉でリラックス
足立美術館の近くには、玉造温泉や安来節の里など、観光スポットが点在しています。美術館鑑賞の後に温泉でゆっくり過ごすのもおすすめです。
特に玉造温泉は「美肌の湯」として知られ、紅葉狩りで歩き疲れた体を癒すのにぴったりです。日帰り入浴施設も充実しているので、立ち寄り湯として利用できます。
訪問時の服装と持ち物
秋の山陰地方は気温差が大きく、特に朝晩は冷え込みます。快適に過ごすための服装と持ち物をご紹介します。
羽織るものを必ず用意
11月の島根県は日中でも15℃前後、朝晩は10℃を下回ることもあります。館内は空調が効いていますが、屋外の駐車場や庭園周辺は冷えます。
カーディガンやジャケットなど、脱ぎ着しやすい羽織ものを持参しましょう。ストールやマフラーもあると便利です。
歩きやすい靴で
館内は広く、ゆっくり鑑賞すると2時間以上かかることもあります。スニーカーや履き慣れた靴で訪れることをおすすめします。
ヒールの高い靴やサンダルは、長時間の鑑賞には不向きです。足元が冷えることもあるので、厚手の靴下も用意すると安心です。
カメラを忘れずに
庭園は撮影可能です(一部制限あり)。紅葉の美しい風景を写真に収めたい方は、カメラやスマートフォンを忘れずに持参しましょう。
ただし、館内の絵画は撮影禁止です。撮影マナーを守って、美しい思い出を持ち帰ってください。
最後に
足立美術館の紅葉は、日本庭園と近代日本画が織りなす唯一無二の芸術体験を提供してくれます。見頃は11月上旬から12月上旬、特に11月中旬が最も美しい時期です。
混雑を避けるには、平日の午前中や閉館前の時間帯を狙うのが効果的です。駐車場は無料ですが、週末は早めの到着を心がけましょう。ツアー利用も交通の便を考えると有力な選択肢です。
紅葉と絵画、そして静謐な空間が調和する足立美術館で、2025年の秋を満喫してください。日本の美が凝縮された特別な時間が、あなたを待っています。

