秋が深まる11月下旬、滋賀県高島市マキノ町に息をのむような景色が広がります。約500本のメタセコイアが2.4kmにわたって立ち並ぶ直線道路は、まるで異国の風景のよう。紅葉シーズンになると、黄金色から紅褐色へと変化する葉が空を覆い、訪れる人々を魅了します。
琵琶湖の北西部に位置するこの場所は、「新・日本街路樹百景」にも選ばれた名所。都会の喧騒を離れ、自然が創り出すアートのような空間で、秋の訪れを全身で感じてみませんか？
今回は、メタセコイア並木の紅葉について、見頃の時期や撮影のコツ、アクセス方法まで詳しくご紹介します。2025年の秋、あなたの心に残る景色に出会える旅へ出かけましょう。
メタセコイア並木とは？高島市マキノの誇る絶景スポット
メタセコイア並木は、滋賀県高島市マキノ町にある県道287号線沿いの並木道です。牧野高原へと続くこの道は、地元の方々の手によって丁寧に育てられてきた歴史があります。
1981年に植樹が始まり、40年以上の歳月をかけて現在の姿へと成長しました。約500本のメタセコイアが整然と立ち並ぶ様子は、まるでヨーロッパの田園風景を思わせる美しさ。四季折々の表情を見せてくれますが、とりわけ秋の紅葉シーズンは格別です。
直線道路の両脇に高くそびえるメタセコイアは、成長すると20〜30mにもなります。その樹形の美しさと整った並び方が、写真映えする構図を自然に作り出してくれるのです。
背景には比良山系の山々が連なり、周辺には田園風景が広がっています。自然と人の営みが調和した景観は、訪れる人の心を穏やかにしてくれます。
2025年の紅葉見頃はいつ？シーズンを逃さないための時期ガイド
メタセコイア並木の紅葉シーズンは、例年11月下旬から12月上旬が見頃を迎えます。2025年も同様の時期が予想されますが、その年の気温や天候によって多少前後することがあります。
見頃のピークを見極めるポイント
11月中旬頃から少しずつ色づき始め、下旬にかけて黄金色が濃くなっていきます。最も美しいのは11月25日前後から12月5日頃までの約10日間。この期間は、黄色から赤褐色へのグラデーションが楽しめます。
朝晩の冷え込みが強くなると、色づきが加速します。前日の最低気温が5度を下回る日が続くと、鮮やかな発色が期待できるでしょう。天気予報をこまめにチェックして、訪問日を決めるのがおすすめです。
12月上旬を過ぎると、徐々に葉が落ち始めます。ただし、落ち葉が道路を覆う光景もまた趣があり、絨毯のように敷き詰められた黄金の葉を踏みしめながら歩くのも格別な体験です。
天候による影響と対策
紅葉の色づきは、昼夜の寒暖差が大きいほど鮮やかになります。2025年の秋も、冷え込みが例年並みであれば、美しい紅葉が期待できるでしょう。
台風や強風の影響を受けると、見頃前に葉が落ちてしまうことがあります。10月から11月にかけての気象情報には注意が必要です。天候が安定している日を選んで訪れることをおすすめします。
琵琶湖周辺の紅葉名所、メタセコイア並木の魅力
琵琶湖周辺には多くの紅葉スポットがありますが、メタセコイア並木はその中でも独特の魅力を持っています。
直線が生み出す美的感覚
曲がりくねった山道の紅葉も美しいものですが、このメタセコイア並木の最大の特徴は一直線に伸びる構図です。遠近法によって消失点へと収束していく並木の姿は、見る者に強烈な印象を与えます。
道路の中央に立って撮影すると、左右対称の完璧なシンメトリーが生まれます。空に向かって伸びる樹木と、その間から漏れる光のコントラストが、芸術作品のような写真を作り出してくれるのです。
琵琶湖との組み合わせで楽しむ
メタセコイア並木から車で15分ほどの距離には、琵琶湖の湖岸があります。並木の紅葉と琵琶湖の景色を1日で楽しめるのも、この場所の魅力です。
マキノサニービーチやマキノ高原温泉さらさなど、周辺には立ち寄りスポットも充実しています。紅葉狩りと温泉、湖畔の散策を組み合わせた充実した1日を過ごせるでしょう。
プロカメラマンも認める！撮影向きの絶景スポット
メタセコイア並木は、写真撮影に最適な条件が揃った場所として、多くのカメラマンに愛されています。
おすすめ撮影ポイント3選
①道路中央からの遠近感ショット 交通量の少ない時間帯を狙って、道路の真ん中から撮影すると、消失点に向かって収束する圧巻の構図が撮れます。早朝の撮影がベストです。
②横からの樹形美ショット 並木道の脇から、メタセコイアの樹形と紅葉の層を捉える構図もおすすめ。立体感のある写真が撮影できます。
③逆光を活かした輝きショット 午前中の斜光や夕暮れ時の逆光を活かすと、葉が透けて輝く幻想的な写真が撮れます。光のマジックアワーを狙いましょう。
平日・早朝撮影が狙い目の理由
週末や見頃のピーク時には、多くの観光客や撮影者が訪れます。人が写り込まない写真を撮りたい場合は、平日の早朝がベストです。
朝6時〜8時頃は交通量も少なく、朝霧がかかることもあり、神秘的な雰囲気の写真が撮れます。朝日が横から差し込む時間帯は、メタセコイアの影が長く伸びて立体感が増す絶好のタイミングです。
三脚を使用する場合は、他の通行者や車両の妨げにならないよう配慮が必要です。安全第一で撮影を楽しみましょう。
アクセス方法と駐車場情報｜車・電車での行き方
メタセコイア並木へのアクセスは、車と電車の両方が可能です。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選びましょう。
車でのアクセス
名神高速道路・京都東ICから約1時間 京都東ICから国道161号線を北上し、県道287号線へ。カーナビには「マキノピックランド」を目的地に設定すると便利です。
北陸自動車道・木之本ICから約30分 木之本ICから国道8号線、国道303号線を経由して県道287号線へアクセスできます。
駐車場は、マキノピックランドの有料駐車場（普通車500円程度）が利用できます。紅葉シーズンの週末は午前中に満車になることもあるため、早めの到着がおすすめです。
電車でのアクセス
JR湖西線「マキノ駅」から約2.5km マキノ駅からメタセコイア並木までは、徒歩で約30分、自転車で約10分です。
駅前でレンタサイクルを利用すると、琵琶湖沿いの景色を楽しみながら並木道へ向かえます。秋風を感じながらのサイクリングは、車とは違った魅力があるでしょう。
紅葉シーズンには、マキノ駅から並木道へ向かう臨時バスが運行されることもあります。事前に高島市観光協会のウェブサイトで最新情報を確認しておくと安心です。
周辺の立ち寄りスポットで旅を充実させよう
メタセコイア並木を訪れたら、周辺の魅力的なスポットにも足を延ばしてみましょう。
マキノピックランド
メタセコイア並木のすぐ近くにある農業公園です。秋にはリンゴやブドウの収穫体験ができ、採れたての果物を味わえます。
併設のレストランでは、地元食材を使った料理が楽しめます。高島の新鮮野菜を使ったランチは、旅の思い出をさらに豊かにしてくれるでしょう。
マキノ高原温泉さらさら
メタセコイア並木から車で約10分の場所にある日帰り温泉施設です。露天風呂から眺める山々の紅葉は格別。散策で疲れた体を癒やすのに最適です。
泉質はアルカリ性単純温泉で、肌に優しく体が温まります。食事処も併設されており、ゆっくりとくつろげる空間です。
白ひげ神社
琵琶湖に浮かぶ大鳥居で有名な神社です。メタセコイア並木から車で約20分。湖上に立つ朱色の鳥居は、日本のウユニ塩湖とも呼ばれる幻想的な景観を作り出します。
早朝に訪れると、朝日に照らされた鳥居と湖面のリフレクションが美しく、フォトジェニックな写真が撮影できます。
服装と持ち物｜快適に紅葉狩りを楽しむための準備
11月下旬から12月上旬の高島市は、朝晩の冷え込みが厳しくなります。快適に紅葉狩りを楽しむための準備をしましょう。
服装のポイント
日中は比較的温暖ですが、朝晩は5度前後まで下がることがあります。重ね着できる服装がおすすめです。
インナー、長袖シャツ、フリース、ウインドブレーカーなど、気温に合わせて調節できる組み合わせを選びましょう。歩きやすいスニーカーや トレッキングシューズも必須です。
日差しが強い日もあるため、帽子やサングラスもあると便利。紅葉の色を鮮やかに撮影したい場合は、偏光フィルターを持参すると良いでしょう。
あると便利な持ち物
- カメラ・スマートフォン（予備バッテリー含む）
- 三脚（本格的な撮影をする場合）
- 飲み物・軽食
- レジャーシート（休憩用）
- ゴミ袋（ゴミは必ず持ち帰りましょう）
- 防寒具（ひざ掛けやカイロなど）
マキノピックランドで地元の特産品を購入できるため、保冷バッグがあると便利です。
混雑を避けて楽しむコツ｜穴場の時間帯と曜日
人気スポットだけに、見頃のピーク時は大変混雑します。ゆっくりと紅葉を楽しみたい方は、以下のポイントを参考にしてください。
平日の朝が最もおすすめ
月曜日から木曜日の午前6時〜9時は、比較的空いています。朝霧に包まれた幻想的な並木道を独り占めできるかもしれません。
夕暮れ時も穴場
午後4時以降は、日帰り観光客が帰り始める時間帯です。夕日に照らされる紅葉もまた格別な美しさがあります。
週末に訪れる場合の工夫
どうしても週末しか訪れられない場合は、11月下旬よりも12月初旬を選ぶと、やや混雑が落ち着いています。色づきのピークは過ぎますが、落ち葉の絨毯が楽しめます。
開園直後のマキノピックランドの駐車場は、まだ空きがある可能性が高いです。午前8時台に到着することを目標にしましょう。
地元の方に聞いた！メタセコイア並木の楽しみ方
地元の方々は、観光客とは少し違った視点でメタセコイア並木を楽しんでいます。
四季を通じて訪れる
紅葉シーズンだけでなく、新緑の5月、深緑の夏、雪化粧の冬と、メタセコイア並木は四季折々の表情を見せてくれます。
地元の方の中には、毎月のように訪れて定点観測のように写真を撮り続けている人もいます。季節ごとの変化を記録するのも、新たな楽しみ方かもしれません。
朝のウォーキングコース
地元住民にとって、メタセコイア並木は格好のウォーキングコースです。朝の清々しい空気の中、並木道を歩く習慣を持つ方も多いとか。
観光で訪れた際も、車を停めて片道30分ほどの往復ウォーキングを楽しんでみてはいかがでしょうか。車窓から見るだけでは分からない、細部の美しさに気づけます。
地元グルメと組み合わせる
高島市は、近江牛やビワマス、発酵食品などの特産品が豊富です。紅葉狩りの後は、地元の飲食店で食事を楽しむのもおすすめ。
道の駅「マキノ追坂峠」では、地元野菜や加工品が購入できます。お土産選びも旅の楽しみの一つです。
最後に
メタセコイア並木の紅葉は、一生に一度は見ておきたい日本の絶景の一つです。直線に並ぶ500本の樹木が織りなす黄金の回廊は、訪れる人の心に深く刻まれます。
2025年の秋、11月下旬から12月上旬にかけて、滋賀県高島市マキノ町を訪れてみませんか。早朝の静寂の中、朝日に輝く並木道を歩く時間は、都会の喧騒を忘れさせてくれる癒やしのひとときとなるでしょう。
琵琶湖周辺の観光と組み合わせれば、充実した秋の旅が実現します。カメラを片手に、あるいは大切な人と手をつないで、メタセコイア並木の紅葉シーズンを存分に満喫してください。
美しい景色は、いつまでもあなたの心の中で輝き続けるはずです。この秋、高島市マキノで特別な出会いが待っています。
